ホンダが現代に残してくれたライトウェイトスポーツは、振り回して楽しい最高のスポーツカーだ!
text:TokyoDrive Staff
photo:American Honda Motor Co., Inc. / Tokyo Drive Staff
日本ではミニバンが、アメリカではピックアップトラックがそれぞれ好調なセールスを見せる中、スポーツカー市場はというと、めっきり冷え込んでいる。
筆者はミニバンにこそ乗る機会はないものの、普段から大型SUVやピックアップトラックには乗り慣れているので、その便利さは十二分にわかっている。
しかし、だからこそ、スポーツカーに乗るたびに、その面白さに気付かされる。
2ドアスポーツカーが日常生活に向いているかと言うと、その本質的な性質からして答えはノーだ。 ドアは2枚しかない、室内は狭い、シートはタイト、足回りは硬い、騒音はするなどなど、クルマに興味がない人から見たらなんのメリットもない。 一方クルマ好きからしてみれば、タイトなシートはコーナーリングで体をサポートし、硬い足回りはコーナーで踏ん張ってくれる、という事になる。
確かに中にはスポーツカーを日常生活の足として使っている人もいるだろうし、取って足りることもあるだろう。 しかし、スポーツカーを楽しむため、ここで思い切った提案をしたい。 S2000のような生粋のスポーツカーはセカンドカーとして持つべきだ。
とてもコンパクトなボディーに、最高237馬力を発生する2.2リッターのVTECHエンジンを詰め込んだスポーツカー、S2000。 ライトウェイトなボディに237馬力のエンジンは相当効いている。 今回はハリウッドからマルホランド・ドライブを抜け、101フリーウェイへ、そして今度はマリブ側となるマルホランド・ハイウェイへと走った。
トップを開けて、オープンにして峠道を駆け抜けるのは非常に気持ちがイイものだ。 多少タイトに感じた室内も、気分は往年の英国ライトウェイトスポーツカーだと思えば、逆に心地よく思えてくる。 そして、一旦本気でワインディングを攻め込めば、ボディの小ささと軽さが自分の武器になっていることに気付くことになる。
電子制御の入ったステアリングとスロットルは、確かに昔のクルマのようなダイレクト感はない。 特にリアタイヤがスライドし始めてから、スロットルで姿勢を制御するというような事は出来なさそうだ。 ただし、限界を超えない程度に、適度に楽しむとしたら電子制御の入った操作系は運転していて非常に楽だし、楽しさをスポイルするということは無いように感じた。
またホンダ車特有のVTECHエンジンにより、6000回転を超えた辺りからカムが切り替わり、カーンと甲高いエンジン音に変わるのもイイ。
フリーウェイでもストレスを感じることがなく合流でき、必要とあれば高速域からの加速で誰よりも速く走る事も可能だ。
ホンダは、S2000を売れると見込んで企画、開発、発売したのであろうか? ちょっと考えれば、そんなに売れないことはわかっていたのではないだろうか。 もちろんユーノス・ロードスターやポルシェ・ボクスターが爆発的にヒットしたことが企画を後押しした背景も容易に想像できる。 しかし、ロードスターといういわばナンパなクルマとポルシェブランドを引っさげたボクスターと、そしてピュアにスポーツを追ったS2000は性格が違いすぎる。 ロードスターに興味を惹かれる顧客はS2000には興味がないだろうし、またボクスターを買おうと思っている客にもS2000は響かないだろう。
それでも、ホンダはS2000を発売した。 これは、ライトウェイトFRスポーツカーの根を絶やさないよう、ホンダが頑張ってくれたのではないかと思う。 先にも書いたが、往年の英国ライトウェイトスポーツのような、走っていて最高に楽しいスポーツカーをクルマ好きのために作ってくれたのではないか。 例えば、それは軽量ライトウェイトなボディにハイパフォーマンスなエンジンを積んでいることからも感じられるし(もちろん、それはホンダのお家芸なのだけれど)、またそれはフロントフェンダーの美しい造詣からも感じられる。 もしかしたら、コンバーチブルである必要はなかったのかもしれないし、スタートボタンなども付ける必要はなかったかもしれない。 ただ、きっとそれらは首脳陣を丸め込むため、より強い商品力を養うために必要だったのかもしれない。 ただ、実際にS2000に乗ってみると、ボディも、エンジンも、外観も、コンバーチブルトップも、スタートボタンも、全てがS2000をスポーツカーとして完成させている事に気付く。
クルマ好きは、S2000を買って欲しい。 フルモデルチェンジして2代目S2000が出ることはきっとないだろう。 だからこそS2000は今が買いだ。 とにかく運転していて楽しいし、なによりホンダの心意気がうれしい。 S2000はスポーツカーという名の元、コンセプト買いすべきなのだ。



